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日本企業だけがアメリカ市場で強くなり、アメリカ企業は日本市場に進出できないというわけです。
考えてみれば、もっともだ、反対ばかりしていると日本は孤立化する、孤立化しては無資源国の日本は生きていけない、というのが日本の世論でしょう。
こうした観点から、矢継ぎ早に各種の大変革が日本で起きています。
金融自由化、証券や生損保、銀行の制度改革、株保有に関する五%ルール、系列取引に関する情報公開などです。
そうなると前述のクリーンエアアクトもやがて日本でも問題になるでしょう。
そうしなければアメリカ企業は日本企業と競争できないからです。
いわゆるフェアネスの要求です。
もう一つの大きな動きがあります。
それは生産中心主義から消費重視への移行です。
これも日本では年間労働時間が二〇〇〇時間を超えるのに外国では一八〇〇時間台で、日本人は働き過ぎだということを、日本人自身自覚しはじめたからです。
企業だけ強くなって消費者は豊かな生活実感が持てない、もう少し消費者サイドに立った経済運営をしなければいけないというわけです。
経済発展、出生率低下、人手不足といったことから企業サイドも対応を迫られています。
福利厚生、労働時間短縮、初任給アップといった要員確保に始まって、メセナ(文化活動)、フィランソロピー(社会貢献)といったことまで企業経営の一環として考えられはじめています。
企業のパフォーマンスを経済的成果だけでなく、社会的存在者としての社会貢献度からも評価しなければならないとの認識です。
このような消費者重視、社会貢献も、効率性だけでなく公共性を企業経営の指導原理としなければならない状況を示しています。
他の会社と競争していくために経理部は、新しくどのようなことに取り組めばよいのですか。
経理部門の機能は情報と資金です。
情報は会計情報であり、財務会計と管理会計からなっています。
会計情報の記録、収集、加工処理、提供と資金の調達、運用という二大機能は今後も変わることはありませんが、環境変化によっていかにそれを達成するかは変化します。
現代はまさに変化が大きく、かつそのスピードが速くなっていますので、それに対応すべく各種の重要な課題があります。
それらの課題を的確迅速に解決していかないと、厳しい競争に負けてしまいます。
それというのも企業は自由競争を基本原理として市場で他企業と競っているからであり、販売担当者だけでなく全ての担当者がそれぞれ対応する他企業の担当者と競争しているからです。
経理部門も他企業の経理部門より強くて、はじめて会社として強くなれると言えるでしょう。
以下に経理部門が取り組まねばならぬ重要課題を記述しますが、すでに実施に移している会社や取り組んでいる会社もあり、早急な対応を検討すべきです。
まずディスクロージャーへの対応です。
前述したように今後は企業運営に当たって効率性のみならず、公共性も同時に考え指導原理としなければならない時代であり、それも外圧によって好むと好まざるとにかかわらずそうなっていくでしょう。
連結範囲の拡大、セグメント情報、系列取引内容、オフバランス情報、有価証券の含み損益などすでにディスクロ九ンヤーを新たに義礎づけられているわけですが、今後もこの傾向は続くものと思われます。
これらの中には、すでに管理会計の一つとして内部的には整備されているものもありますが、財務会計の一つとして外部発表までするとなると、継続性原則も問題となり、新たな取り組みを要するでしょうし、従来管理会計でやっていなかった企業は新たに膨大なデータ処理を要することになります。
その際重要なことは、法令によって強制されるから仕方なしにいやいや取り組むのでなく、どうせやるなら企業経営に大いに役立つものにしようと積極的、自発的に取り組むことです。
例えば、従前から会計情報を意思決定用に活用する手段として、データベースを持つことが進められてきましたが、ディスクロージャー要求を機にデータベースの充実を図れば、かえってプラスになるでしょう。
財務会計と管理会計の関係については、三つの考え方があります。
両者を完全に別のものとする考え方、完全に同一のものとする考え方、データベースで統合する考え方です。
それぞれに特徴があり、そのいずれとするかは企業の考え方によるのですが、第三の考え方である提供する情報は管理会計と財務会計と違ったものとするが、データベースでは統合するという考え方が合理的ではないかと思います。
次に情報処理手段としてのコンピュータと通信回線がますます進展している中において、取り組まねばならぬことがあります。
まだ販売、生産といったライン活動に必要な情報処理と、会計に必要な情報処理が基本的なところで二本立てになっている会社が多いのですが、今後は一本化されてくるだろうということです。
フランチャイズによるスーパーなどでは、すでにPOS(ポイントーオブーセールーアンドースキャニング)によって一本化がなされています。
メーカーによってデータ精度の向上、データ処理スピードのアップ、データ処理コストの低減、データ活用の高度化が一挙に可能となります。
経理部門にとって一大テーマですが、是が非でも取り組み成功させねばならない課題です。
もしそれが出来れば、今は一か月単位でやっている原価計算や損益計算が、個々の生産、販売の都度、刻々に計算できるようになり、物の管理と価値管理が同期化されるようになるでしょう。
これは会計の革命です。
すでにその手段は与えられているのですから、あなたに是非取り組んでほしいものです。
もう一つの課題は長期安定的な資金の調達と、資金の効率的な運用です。
調達方法もかつての割引、借入と額面増資しかなかった時代から、今や時価発行増資、中間発行、CB、SB、WB、優先株、外貨調達、CPなど金融自由化の中で各種の方法があります。
運用方法も自由金利の大口定期、現先、特定金銭信託、ファンドトラストなど各種のものがあります。
これらを総合していえることは、経理部門としては資金面から見た企業の安全性確保です。
株で儲けるといったことでなく、国境を越えた資金のネットワーク下で、市場リスクは高まっているとも言えるわけで、企業経営に必要な資金を調達しながらリスク管理を十分やることが経理部門の課題です。
オプションや先物、為替予約といった新しい金融商品なども、あくまでリスク・へレン手段として活用することであって、金融会社でない一般事業会社がそれで儲けるべきことではないでしょう。
経理マンとして何十年も働くと思うのですが、まず何を目標として努力すればよいのですか。
これまで新人経理マンとしてのあなたに、先輩としてあれこれ語りかけてきました。
本項で最後ですが、経理部門の明日を担うのはあなたです。
あなたには、有能な経理マンとしてだけでなく、是非とも優秀なビジネスマンに育っていただきたいと思います。
二十年、三十年後には企業の重鎮として、企業をリードされることになるでしょう。
なにも企業だけではありませんが、人間は集団で生活する動物です。
集団にはリーダーが必要です。
リーダーいかんによって、その集団の生死が決せられます。
ではリーダーの必要条件は何か、これは実に難しい問いです。
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